昨年の11月にタネを直播きした「赤花の絹さやえんどう(関東では絹サヤ、関西ではサヤエンドウ)」の花です。赤いスイートピーですね。小さな苗のまま越冬し、立春を過ぎる頃からグングン大きくなります。そのスピード感が半端ないのです。3月中旬から咲き始め、4月には次々と実がなります。
赤花の色が抜けて、花びらがしおれて青っぽく変化していきます。この花の根本にある子房が受粉してふくらみ、結実して絹さやになります。花びらのスカートを脱ぐように、実が大きくなり、このサヤ全体が果実です。そして中のお豆が種子です。
エンドウ豆は、みんな双子です。ひと枝に2輪ずつ花が咲き、2つずつ実がなります。
マメ科の植物は、根につく根粒菌(土壌微生物)が空気中の窒素を固定(アンモニアに変換)して、肥料を土中で作りだしています。
人間がつくる化成肥料の窒素肥料もアンモニアが主原料ですが、大気中の窒素と水素をアンモニアに変換するため、400–500℃の超高温、200–1000気圧の超高圧下で反応させて作ります。これには膨大なエネルギーを必要とします。
こうして工業的につくられる窒素肥料は、戦後言い続ける「人口増加にともなう食物増産のため、今後も需要増加が見込まれる」そうです。その一方で、フードロス削減を掲げ、なにやってんだか私たちです。
そんな窒素肥料を、マメ科の植物はカラダひとつでやってのけるのですから、もう世の中、お豆さんにお任せしましょうよー。
マメ科の植物は、このように自ら肥料を生産できる植物なので、緑肥や荒地を緑地に変えるパイオニア植物としても大活躍。収穫後の残渣や根は、そのまま肥料として死後も地球の役に立っています。素晴らしいですね。確かに、あの春先に勢いよく育つスピード感は、ただものではないパワーがあります。
そんなすごい植物ですが、育てるのはとっても簡単。東京ならば、晩秋に豆を撒くだけです。発芽した時に、鳥たちに食べられないように、ちょっと気をつけるくらいで、あとはお豆さんにお任せします。みるみる大きくなるので育て甲斐(見守り甲斐?)があり、収穫も楽しく、美味しい食卓が囲めます。蔓性の植物なので支柱が必要ですが、塀のフェンスなど利用すると簡単です。
はじめてでも失敗なく育てられるおすすめの野菜ですので、是非、お試しください。